民泊の宿泊者名簿をGoogleフォームで集める|中国本土の注意と設問例
宿泊者名簿は Google フォームでも集められますが、中国本土からは開けません。中国本土のゲストへの対処、営業形態別の設問例、同行者全員分を漏らさない作り方、共有設定の点検表をまとめました。
宿泊者名簿は、Google フォームでも集められます。無料で始められ、ゲストはスマートフォンから入力できます。ただし、中国本土からは Google フォームが開けません。チェックイン前に名簿の入力をお願いする運用では、中国本土から予約したゲストだけ名簿が集まらない、ということが起こります。
このほかにも、そのまま作ると同行者の入力漏れ、旅券の写真の受け取り、回答データの共有範囲でつまずきやすくなります。この記事では、中国本土のゲストへの対処、営業形態に合わせた設問例、運用前の点検表をまとめます。名簿に書く項目そのものの根拠は「民泊の宿泊者名簿は全員分必要?」で詳しく説明しています。
中国本土のゲストは Google フォームを開けない
中国本土では、Google の検索・Gmail・Google ドライブなどのサービスがインターネットの規制で遮断されています。Google フォームも同じ Google のサービスなので、中国本土のネット回線からは、VPN などを使わない限り開けません。香港・マカオはこの規制の対象外です。
民泊の運用で問題になるのは、次のような場面です。
| 場面 | 起こること |
|---|---|
| 予約後、来日前に名簿の入力をお願いする | 中国本土の自宅や職場からはフォームが開けず、入力されないまま到着日を迎える |
| 旅券の写真をフォームで受け取る | 「ファイルのアップロード」は Google アカウントへのログインが必要。中国本土では Google を日常的に使えないため、アカウントを持っていないこともある |
| 来日後、宿に着いてから入力してもらう | 日本の回線なら開けるが、到着が深夜の場合などに入力がチェックインに間に合わないことがある |
中国本土からの予約がある宿では、次のどれかを用意しておきましょう。
- 中国本土からも開ける名簿の入力手段(中国本土から利用できるフォームや、名簿の専用サービス)を別に用意する
- 中国本土のゲストには、到着後に宿の Wi-Fi で入力してもらう流れにし、その旨を予約後のメッセージで伝えておく
- チェックイン時に紙やタブレットで記入してもらい、旅券はその場で写しを取る
どの方法でも、中国本土のゲスト向けの案内は簡体字の中国語で用意しておくと、入力漏れを減らせます。
設問例(営業形態別)
名簿の必須項目は営業形態で違います。フォームの設問は、次の表を元に作ってください。「必須」はフォームの「必須」をオンにする項目です。
| 設問 | 質問の形式 | 住宅宿泊事業 | 旅館業 | 特区民泊 |
|---|---|---|---|---|
| 予約番号または代表者名 | 記述式 | 必須 | 必須 | 必須 |
| 氏名 | 記述式 | 必須 | 必須 | 必須 |
| 住所 | 段落 | 必須 | 必須 | 必須 |
| 連絡先(電話またはメール) | 記述式 | 任意 | 必須 | 必須 |
| 職業 | 記述式 | 必須 | 任意 | 任意 |
| 宿泊日(チェックイン・チェックアウト) | 日付 | 必須 | 任意 | 任意 |
| 日本国内に住所がありますか | ラジオボタン(はい/いいえ) | 必須 | 必須 | 必須 |
| 国籍 | 記述式 | 「いいえ」の人だけ | 同左 | 同左 |
| 旅券番号 | 記述式 | 「いいえ」の人だけ | 同左 | 同左 |
「日本国内に住所がありますか」で「いいえ」を選んだ人だけに国籍と旅券番号を聞くには、フォームを「セクション」に分け、回答に応じて次のセクションへ進む設定を使います。
設問文は日本語と英語を併記しておくと、海外ゲストも迷わず入力できます。
氏名 / Full name
住所 / Home address
連絡先(電話またはメール) / Phone number or email
日本国内に住所がありますか / Do you have an address in Japan?
国籍 / Nationality
旅券番号 / Passport number
同行者全員分を漏らさない作り方
名簿は宿泊者全員分が必要です。フォームでは、次のどちらかの形にします。
| 作り方 | 向いている宿 | 注意点 |
|---|---|---|
| 1 人 1 回答(おすすめ) | 人数が変わりやすい宿、大人数のグループが多い宿 | 回答を予約番号で束ね、宿泊人数と回答数を照らし合わせる |
| 1 回答で全員分 | 2 人程度の少人数が中心の宿 | 「同行者 2」「同行者 3」…と人数分のセクションが必要。空欄のまま送信されても気づきにくい |
1 人 1 回答にする場合は、代表者へのメッセージに「宿泊される方 全員 が、お一人ずつ入力してください」と書き、フォームの冒頭にも同じ一文を入れておきます。チェックイン前日に、宿泊人数と回答数が合っているか確認する習慣をつけると、漏れに早く気づけます。
旅券の写真を受け取るときの注意
日本国内に住所のない外国人については、旅券の提示を求め、写しを名簿と一緒に保存することが求められています。フォームで写真を受け取るなら「ファイルのアップロード」の質問を使いますが、次の点に注意してください。
- 回答者は Google アカウントへのログインが必要です。アカウントを持っていない、またはログインしたくない海外ゲストもいます
- アップロードされたファイルは、フォームのオーナーの Google ドライブのフォルダに保存されます
- ファイル形式は「画像」に、ファイル数は 1、サイズは必要最小限に制限しておきます
ログインできないゲストのために、チェックイン時に旅券を提示してもらい、その場で写しを取る方法も案内しておきましょう。
回答データの共有設定の点検表
名簿には住所や旅券番号などの個人情報が入ります。フォームを公開する前に、次の点を確認してください。
| 点検すること | 設定の目安 |
|---|---|
| フォームの編集者 | 運営に必要な人だけにする |
| 回答のスプレッドシートの共有 | 「制限付き」にし、リンクを知っている人全員が見られる状態にしない |
| 旅券写真が保存されるドライブのフォルダ | 共有相手を確認する。清掃スタッフなど名簿を見る必要のない人と共有しない |
| フォームの冒頭文 | 名簿の作成と保存のために集めること、保存期間(3 年)を書いておく |
| 保存期間を過ぎたデータ | 3 年を過ぎた回答とファイルを削除する日を決めておく |
| 回答の受付 | 使わなくなった古いフォームは「回答を受け付けていません」にしておく |
Google フォームが向いている宿、向いていない宿
Google フォームは、日本人ゲストが中心で、1 回に泊まる人数が少ない宿なら十分に使えます。
一方で、中国本土からの予約がある宿には向きません。ほかにも、海外ゲストが多い宿や、予約ごとに人数や旅券の有無を確認する手間を減らしたい宿では、入力漏れの確認や旅券写真の受け取りに手間がかかりがちです。その場合は、中国本土からも入力でき、多言語で表示される宿泊者名簿の専用サービスも検討してみてください。
いずれの方法でも、最終的な記載事項や保存方法は、営業している自治体の案内で確認してください。
よくある質問
Q. 中国から予約したゲストに Google フォームで名簿を入力してもらえますか?
中国本土では Google のサービスが遮断されているため、中国本土の回線からは VPN などを使わない限りフォームを開けません。来日後に日本の回線で入力してもらうか、中国本土からも開ける別の入力手段を用意してください。香港・マカオは規制の対象外です。
Q. Google フォーム 1 回の回答で、グループ全員分をまとめて入力してもらえますか?
できますが、人数分の入力欄を用意する必要があり、入力漏れに気づきにくくなります。1 人 1 回答にして、予約番号や代表者名で束ねる方法のほうが、人数との照合がしやすくなります。
Q. 旅券(パスポート)の写真をフォームで受け取れますか?
「ファイルのアップロード」の質問で受け取れますが、回答者は Google アカウントへのログインが必要です。アカウントを持っていない海外ゲストもいるため、別の受け取り方も用意しておくと安心です。
Q. 旅券番号を手入力してもらえば、写しは要りませんか?
日本国内に住所のない外国人については、旅券の提示を求め、写しを名簿と一緒に保存することが求められています。番号の入力だけでは写しの保存になりません。
Q. 回答はどこに保存されますか?
回答はフォームに蓄積され、スプレッドシートにも書き出せます。アップロードされたファイルは、フォームのオーナーの Google ドライブのフォルダに保存されます。保存先の共有範囲を必ず確認してください。